tommy's garden

アラフォーの初マタライフの記録。今秋に出産予定。

『子の無い人生』 酒井順子

少し前に、酒井順子さんの『子の無い人生』を読みました。

 

直球のタイトルに、手に取るのをためらわなかったと言ったら嘘になります。読むのはまだ早いかも、と思ったのも事実。でも、今のうちに読んでおいてよかった。それは、子どものいない人生というものを、自分に引き寄せて考える一歩を踏み出せたからです。重たい問題について書いても面白おかしく読ませるのは、この著者の得意とするところですね。

 

酒井順子さんといえば、『負け犬の遠吠え』で一世を風靡した作家さんです。

 

当時の私はまだ20代。けれども、いずれは自分も“負け犬”の仲間入りをするだろうと、確信に似た思いがありました。それから数年、はたして“負け犬”の一員となり、この大ベストセラーをずっと気に掛けつつも、結局手を出せず……。たぶん、“負け犬”という響きが強烈すぎて、読むのが怖かったのだと思います。

 

そんなこともあって、今度こそ、酒井さんの新刊を旬を逃さず読みたかった。今年50歳を迎える酒井さんが、子どものいない人生を肯定しているのか、いないのか。肯定しているとしたら、いったいどうやってその人生を受け入れたのか。私が知りたかったそれらの答えが、本書には記されていました。

 

さて、全編を通して、印象に残った記述はいくつもあります。たとえば……

 

出生率1.26(2005年)といった数字が叩き出されたあたりから、子供というものには希少価値が出てきました。子供は「面倒くさい存在」から「滅多に手に入れられない貴重品」になっていったのです。 

 

「母」という肩書きは、「私は幅広い視点を持っている」ということをアピールしたい場合、「妻」という肩書きより、ずっと効果的。

 

「子ナシ」という状況に対する劣等感の問題は、どうなのでしょう。既婚子ナシ女性に話を聞くと、「結婚しているのに子供はいない」という状態に劣等感や欠落感を抱く人が多いのですが、男性は……と聞いてみると、「その手の感覚はゼロ」なのだそう。

 

四十代になるかならないかくらいの時は、「子供がいない」という状況に対して「これでいいのか」と思うこともありました。が、それは肉体が鳴らした「もうすぐ妊娠、締め切りますよ~」という警鐘がもたらした焦燥だったのでしょう。

 

一つ言えるのは、「子なし」という状況には一種の清々しさが伴う、ということです。(中略)自分の子供の幸福や、家の継続、家作を守るといったことへの執着から解放されているという徒然草的な感覚を、私達は持つことができる。

 

このほかにも、“歴代ファーストレディーで、子供がいない初めてのケース” として、安倍首相夫人である昭恵さんのエピソードも語られます。昭恵夫人も、不妊治療の経験者なのですね。立場が立場なだけに、周囲の人間から心ない言葉を浴びせられた経験もお持ちのようです。それらの困難を乗り越えて、子どものいない人生を前向きに受け止める姿は、とても素敵だと思いました。 

 

 

子の無い人生

 

負け犬の遠吠え

 

儒教と負け犬

 

お読みくださり、ありがとうございます。